深層的自己価値感は児童期初期に形成されてしまう!?

●自己価値観とは「自分は価値ある存在」という感覚

自己価値感とは、「自分に価値があるという感覚」のことです。

 

自分の中に劣った部分があっても、未熟なところがあっても、幼稚なところがあっても、不完全なところがあっても、醜いところがあっても、自分は価値ある存在だ、という感覚です。

 

自分は「価値ある存在でこの世界に存在している価値のある人間だ」という感覚です。

 

●人はこの自己価値の感覚をつねに意識しているわけではない

母親に抱きしめられたとき、
恋人にキスされたとき、
友達に励ましてもらったとき、
目標を達成したとき、
仕事を覚えたとき、
上司に褒められたとき、
などの体験をすると人は自己価値の感覚を感じます。

 

自己価値の感覚は幸福感、達成感、充実感、成長感、親密感などを感じる体験をしたときに感じられるものだということです。


●マイナスな体験は自己無価値感を感じる 

失恋をしたり、上司に怒られたり、親を失望させてしまったり、いじめられたり、友達とケンカをしたりするなどの体験をしたとき、人は自己無価値感を感じます。

 

つまり自己無価値感は、屈辱感、劣等感、敗北感、孤独感、空虚感、無力感、卑小感、絶望感、などを感じる体験をしたときに感じる感覚ということです。


自己無価値感を感じたとき、「自分はだめだ」「どうせ私は……」「私なんか……」などと思ってしまいます。さらに強い無価値感を感じると「自分は生きている価値があるのだろうか?」「自分はダメ人間だ」「生きてる価値ない」などと思ってしまいます。

 

●自己無価値感を感じるとマイナスな行動をしてしまったりもする

・攻撃的になり、乱暴な言葉を言ってしまう。

・ふてくされて、反抗的な態度をとってしまう。

・破滅的な行動(浪費、過食、深酒、過激な運動)をしてしまう。

・反社会的な行動(非行、ドラック、ケンカ、暴走行為)をしてしまう。

 

以上ような自分にとってマイナスとなる行動をしてしまう場合があります。

 

こうした自分にとってマイナスになる行動をしてしまった結果、自己嫌悪を感じ、ますます自己無価値感を強めてしまう場合もあります。

 

●能力があるのに自己無価値感に苛まれている人もいる

自己の能力を持っていながら、あるいは優れた業績を上げながら、自己無価値感に苛まれる人がいます。
 

こうした人は、業績を上げることや他者からの評価によって自己無価値感を埋め合わせしようとしている人なのです。
 

人間の心は単純ではありません。心の表層と深層が大きく違っている場合もあります。心の表面は自分は価値があると感じていても、心の深層では自分には価値がないと感じている場合もあります。心の表層と深層では180度違う感じ方をしている場合があるのです。

 

心の表面では恋人のことを大好きと感じていても、心の深層では恋人のことを大嫌いと感じている場合もあるのです。

 

そんな180度違う感覚、アンビバレントな感覚を人は心に抱くときがあるのです。
 

人の心の真相を理解するためには、心の表層と深層との違いをとらえることが必要です。

●深層的の自己価値感は児童期初期に形成されてしまう
深層的な自己価値の感覚は、幼児期から形成され、児童期の初期には確立してしまうといわれています。

自分は価値ある存在という深層的価値感覚の形成条件は、
愛情豊かで適切な養育環境です。

 

自分が誕生した世界で自分が歓迎されること。
自分に適した養育がされること。

それが児童が健全な価値感覚を育てます。

 

●深層的な自己無価値感は、愛情に欠けた環境&適切でない養育において形成される

深層的な自己無価値の感覚は、愛情に欠けた適切でない養育において形成されます。

 

甘えたいのに甘えられない、遊んで欲しいのに遊んでもらえない、抱っこしてもらいたいのに抱っこしてもらえない、泣いているのに慰めてもらえない。そんな子供の願望や欲求が無視されるような環境を愛情の欠けた環境といいます。

 

おしっこをもらしたのにオムツを替えてもらえない、お腹が空いているのにご飯をなかなか食べさせてもらえない。痛いところがあるのになにもしてくれない。そんな子供に苦痛を与える環境を不適切な環境といいます。

 

そんな子供の願望&欲求を無視する環境が子供の深層的な無価値感を形成します。

 

このような不適合な状況では、子どもは自分に価値があるとは感じられず、自分そのものが無価値な存在だという感覚を形成してしまいます。
 

もちろん、幼い時期のこうした心の動きは、無意識のものです。しかし、無意識であるがゆえに、それだけ強烈に脳にすり込まれ、心のすみずみに広がり、そののちの人格を作り上げていく基礎になってしまうのです。
 

●自己価値感を持つ子どもと自己無価値感を持つ子ども

しっかりとした自己価値感を形成できた子どもは、自分と他者を信頼し、外界が自分を受け入れてくれることを疑いません。このために、自分の感情や欲求を素直に表現し、外界に働きかけます。こうした能動的な行動が外界への適応能力を発達させ、自分と外界への信頼感をいっそう高めます。こうして、自分を取り巻く世界はますます魅力を増し、生活は喜びや楽しみに満ちあふれたものになっていきます。
 

これに対して、自己無価値感しか形成できなかった子どもは、自分を取り巻く外界を信頼することができず、外界に働きかけることを躊躇してしまいます。これが、諸能力の発達の機会をせばめ、自信の獲得を妨げます。そのために、外界は脅威的なものと感じられ、必然的に自分を守ることへと意識が向いてしまうのです。