褒められたい認められたい!諸刃の心理「承認欲求」とは 

承認欲求とは

承認欲求は、人間の中に組み込まれた自然の摂理

承認欲求は、生まれた時から死ぬまで生きている間、ずっと持ち続ける欲求です。人によってその強さに個人差はありますが、なくなることは命が尽きるまでありません。つまり承認欲求は、人間の中に組み込まれた自然の摂理と言っても過言ではないということです。

 

承認欲求は、本能的欲求

承認欲求は「褒められたい」「認められたい」という本能的な欲求です。人にとって承認欲求は、睡眠欲や食欲と同じように基本的な欲求なので、この欲求が満たされないと精神疾患になってしまう恐れがあります。

 

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人は、ほめられることを本能的に求めているのです。

 

マズローの五段階欲求説

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心理学者のアブラハム・マズローは人間の基本的な欲求を下から、

生理的欲求 (physiological need) 、

安全の欲求 (safety need) 、

所属と愛の欲求 (social need/love and belonging) 、

承認の欲求 (esteem) 、

自己実現の欲求 (self actualization)

の5段階に分類しました。

 

それぞれは階段のようになっていて、下位の欲求をクリアしないと上位の欲求は出てこないと唱えました。

 

生理的欲求

よく言われる「食欲・睡眠欲・性欲」の3大欲求がこの欲求に当てはまります。

 

動物的欲求と言い換えることもできます。

 

安全の欲求

「自分の安全が脅かされない状態を望む」欲求です。

 

雨風が凌げる家がほしい、食いっぱぐれ無い職業を求める、安定した収入のある結婚相手を求める、頼りがいのある人を求める、などがこの欲求に当てはまります。

 

所属と愛の欲求

自分の生活が安定してくると、今度はどこどこのグループに属したい、自分のことを大切し てくれるコミュニティーにいたい、という仲間を求める所属と愛の欲求が出てきます。

 

求めるグループが職場の場合もあるし、趣味やサークルである場合もあるし、家庭である場合もあります。そしてその中で愛されることを求めます。

 

承認の欲求

自分に仲間ができれば、今度はその仲間から評価されたいと、望む承認の欲求が生じてきます。そうして承認欲求 が満たされれば、自分に自信がつき「自分らしく楽しくいきたい」という自己実現の欲求へと変化していきます。


マズローはこの承認の欲求には二つのレベルがあると説明している。

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 低いレベルの承認欲求は、他者承認によって満たすことができる

「低いレベルの承認欲求は、他者からの尊敬や評価を得ることや、富や名声・権利を持つこ と、注目を浴びることなどのいわゆる他者承認によって満たすことができる」とマズローは言いました。

 

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高いレベルの承認欲求は、自己承認で満たすことができる

「高いレベルの承認欲求は、自己肯定感・自己信頼感、スキルの向上・能力の獲得、自立性、などのいわゆる自己承認で満たすことができる」とマズローは言いました。


つまり他人からの評価よりも自分で自分を評価したほうが、承認欲求を効果的に満たすことができる、とマズローは主張しているのです。

 

参考サイト

 

 

承認欲求の持つプラス面

1、モチベーションアップ&維持に役立つ

モチベーションとしても、承認欲求は欠かすことができないものです。他人から承認されれば、気分がよくなり、やる気が出ます。逆に他人から批判されると気分が悪くなり、やる気を失います。プライベートなことならやる気を失っても問題はありません。やりたくなければやらなければいいからです。でも、仕事はやる気がないからやらないというわけにはいきません。そんなことをすれば会社を辞めさせられてしまうからです。だから仕事人は批判されて、やる気を失っても、仕事を続けるのです。

 

2、夢や目標を叶えやすくなる

他人からの承認を満たすために頑張ることをモチベーションにすると、頑張ることができ、夢や目標なども達成されやすくなります。

 

3、承認欲求を満たしたいという欲望があるから不安や恐怖を乗り越えられる

「承認欲求を満足させたい」というモチベーションがあるからこそ、不安や恐怖に負けずに前進することができます。求める気持ちは不安や恐怖を凌駕することがあるということです。

 

他人の批判に耐えられられるのは、他者承認を得られる可能性があれば、批判に屈することなく努力を続けられる可能性が高くなります。

 

承認欲求の持つマイナス面

1、承認欲求に支配された人生を送ることになる

もちろん褒められたいという気持ちを、原動力にして努力することは悪いことではないが、その気持ちが強すぎるのは非常に危険です。承認欲求に支配された人生を送ることになってしまうリスクがあるからです。

 

承認欲求にこだわり過ぎるとつらい人生になるリスクが高くなる

学校を卒業して社会人になっても、褒められたい病から抜けられない人は、常に自分を褒めてくれる、上の人を求めることになります。常に他者の承認を求める状態にあるから他人の承認を得るために必要以上にがんばってしまいます。そんながんばりが長く続くわけがありません。近い将来破綻するときが来ます。それはうつ病という形の破綻かもしれません。燃え尽き症候群という形の破綻かもしれません。そんな状態になっても承認欲求をなくすことができません。承認されることがその人にとってなにより求めるものだからです。でも破綻してしまった人は承認欲求を満たすための努力ができなくなります。そんな自分に惨めさを感じます。情けなさを感じます。劣等感を感じます。そんな負の感情はその人のことを苛みます。その苦しみに耐え切れなくなり、自殺を考えるようになります。実際に自殺をしてしまう人もいます。承認欲求を求める行為にはこのようなリスクがあるのです。

 

人生を楽しめなくなってしまう

自分が社会(世間)でどれくらい認められて成功しているか、といった一つの価値判断にこだわり過ぎると、『他人との対等な人間関係・自分のやりたいこと』を、楽しめなくなり、『失敗できないという緊張感(失敗したら他の人から評価されなくなるという強迫観念)』に、苦しめられやすくなります。

 

遊んでいてもご飯を食べていてもデートをしていても承認欲求を満たすことばかり考えてしまい、その状況を楽しむことができなくなってしまうのです。

 

他人を見下すようになる

他人に承認されないような人生を送るような人間は敗北者だという考え方が承認欲求の強い人にはあります。そんな考え方を持っていれば自分より承認されていない人はみんな敗北者だということになります。敗北者だと思えば、当然のように優越感を感じるようになります。優越感の裏には相手を見下す心理が働いています。

 

承認欲求を満たすため病的な行為をしてしまう場合もある

親切の押し売りをしてしまうメサイアコンプレックスという心理的病気の原因も、承認欲求が満たされなかったことが原因の場合があります。

 

 承認欲求を満たすために犯罪行為をしてしまう人もいます。

 世間を騒がせた「つまようじ混入事件」

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スナック菓子の容器につまようじを突き刺したり、万引きしたりしているような様子などの動画が、ネット上に相次いで投稿された事件。

 

少年のアカウントからは問題動画が多数発見された

YouTubeには、「narukami 793」というアカウントで、商品棚のスナック菓子のパッケージにつまようじを刺し入れる様子や、万引きを行う様子の動画が多数投稿

 

昨年末から、《私は万引で日本一のプロになるんですよ。それを目標に、頑張っています》と述べ、19回にわたり万引行為を投稿

 

この少年の行動に見え隠れする「誰かに認められたい」という欲求

犯行を動画に撮影してアップするという行動は、「誰かの注目を浴びたい、評価してもらいたい」という承認欲求そのもの。少年は承認欲求を満たすために間違った方法を選んでしまったのだ。

 

 

強くなりすぎると間違った方法で満たそうとしてしまう恐れのある承認欲求。どうして承認欲求は強くなってしまうのでしょうか?

 

承認欲求が強くなる7つ理由 

理由1:時代背景

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少し前の時代までは「ステータス」が、大きなモチベーションとなっていました。ネームバリューのある大学に進学すること、上場企業に就職し昇進し良い給 料をもらうことで、承認欲求を満たすことができました。

 

でも、インターネットの登場によって、多く の人が情報を簡単に手に入れることができるようになると、企業や組織の不正が暴かれるニュースを見たり、会社に自殺に追い込まれるまで働かされるサラリーマンのニュースを見たり、ブラック企業の情報を見たりする人が増えました。その結果、会社に対する評価が下がりました。会社に対する評価が下がれば、学歴に対する評価も下がりました。学歴は良い会社に入るための資格のようなものだったからです。苦労してその資格を手に入れても、魅力ある会社なんかない。そういう認識を持つ若者がインターネットの普及の結果増えました。

 

企業への魅力が下がった結果、「肩書き」や「地位」「学歴」を重視しなくなってしまったのです。

それらの代わり重視するようになったのが「その人自身」つまり個性です。それは能力や才能だけではなく、あり方や考え方、礼儀を重んじているかなどの、人間性の部分が評価されるようになりました(芸能人や野球選手、芸術家、宗教家、などが個性を生かして活躍する人たちの代表格)

 

そういう人は、年齢性別に関係なく、企業で働く以外の方法で活躍するようになりました。それを見た私たちは、今まで信じてきた「肩書き」や「地位」などのステータスを手に入れることより、個性で勝負したほうが他者の承認が得られることに気づいてしまいました。

 

その結果、多くの若者が自分の個性を生かすやり方で社会で活躍しようとするようになりました。

 

理由2:SNSの隆盛

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残念ながらすべての人が自分の個性で社会で承認を得られるわけではありませんでした。そういう人たちが承認欲求を満たすために始めたことがSNSでした。

 

共通の趣味でつながったコミュニティーの中に、自分と同じ考えを持った人がいる、悩みに共感してくれる人 が’いる、自分の事を認めてくれる人がいる、ということがわかり、日本では最初は、2ちゃんねるやmixiなどの匿名性の高いSNSが流行しました。

だが、それがある程度落ち着くと、「フェイスブック」という実名でのアカウント登録が必要なSNSが登場してきました。個人の発言はいいね!やシェアで拡散され、コメントが多くつくことによって、インターネット上での影響力が評価される、つまり他者の承認を得られるものだと理解され始めました。それはTwitterなどの匿名のアカウントでも同様で、そのアカウントが発する言葉が、「面白い」「有益だ」と思われれば、フォロ ワー数という形で評価されるようになったのです。

さらにオンラインゲームでも承認欲求を満たすことができるようになりました。架空の世界で活躍することによって他者に賞賛される。そのことが病みつきになり、ネットゲーム依存症になり、社会生活を送れなくなる人も現れるようになりました。今ではそのゲーム依存症が深刻な社会問題へと発展してしまっています。

 

理由3:幼少期の家族関係

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承認欲求が強い人が増えた主な原因は幼少期の家庭環境にあると言われています。

一般的には、生まれたての赤ん坊 や子どもは笑ったり、立って歩いたり、排泄をしたりするだけでも、「よくできました」と承認され、褒められます。この時期の幼児には出来ること自体が少ないため、その数少ない出来ることを実行できると、たいてい褒められます。この時期の体験が、承認欲求をモチベーション源にしていくための土壌を作っているのです。

そうして3歳を超えて小学生になるくらいまで、できることが大幅に広がることによって、やってはいけないことを叱られたり、できないことにチャレンジして失敗するような経験をするようになります。

 

だがそれでもまだ、今まで出来なかったことが出来るようになるたびに、多くの親や先生は 褒めてくれるし、多少の出しゃばりなら大目にみてもらえます。そうやって自分のできなかったことが出来るようになると、褒めてもらえるというプログラムを獲得できるようになるのです。
 
だが、この時期に承認欲求を満たされてこなかった、つまり親や保育者の承認を受けてこなかった人は、自分ができなかった事ができるようになった結果褒められるという承認欲求を充たすプログラムが確立されていません。そのような子どもは、褒めてもらいたい気持ちや認められたい気持ちを満たす手段を知りません。

両親が共働きが当たり前になった現代では、その親の承認を受けて育てられなかった子どもたちが増えてきています。そして、そのまま成長して行ってしまうと、承認欲求をモチベーション源として行動することがうまくできずに、承認欲求を抑えきれずに、なんでもかんでも認められたいと思ってしまう、承認欲求の強すぎる大人になってしまうことがあるのです。

 

理由4:否定され続けてきたから

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「自分のやることなすことを否定され続けてきた」「いじめに遭って、存在そのものを否定され続けてきた」という経験が長く続くと、承認欲求が強く表れます。

 

否定され続けている間に、「お願いだから、自分のことを分かってほしい」「お願いだから、自分のことを愛してほしい」という気持ちが溜まり、ある日突然、何かの形で、承認欲求が爆発してしまいます。

 

また、「これをしてはいけません」を両親から言われ続けたりしても、このケースに当てはまります。もちろん、「いけません」と言っている側には悪気はなく、むしろ良かれと思って言っているのだが、「否定された」ということそのものが、トラウマになってしまう場合があります。

 

さらに否定され続けた人は、自己否定を繰り返す傾向が強いです。そのためますます承認欲求が強くなってしまうリスクが高いです。

 

 

理由5:今まで、努力がなかなか報われなかった

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例えば、何かを目指したりしていて、下積みや苦労期間が長く、なかなか自分の努力が日の目を見なかった場合も、承認欲求は大きくなります。自分はこんなにも努力してきたのだから多くの人に賞賛されるのは当然のことだという心理が働くからです。

 

なぜ、そんな心理が働くのか?人は努力に見合った報酬を求める気質があるからです。等価交換というやつです。でも、残念ながら世の中の人は努力の分だけの承認を与えてくれるとは限りません。ほとんどの場合、努力の量より承認の量のほうが下回ることが多いです。その差は年を重ねるごとに酷くなります。つまり、年を重ねるほどに努力の量より承認の量のほうが少なくなってしまうということです。

 

つまり、承認欲求の強い人は、年を重ねるごとに承認される量が努力の量より少なくなるということです。当然、承認欲求の強い人がそんな少量の承認欲求で満足できるわけありません。大量の承認を手に入れるため努力します。でも、どれだけ努力しても自分の求める承認量は得ることはできません。結果、慢性的な欲求不満に陥ります。承認欲求が強いまま年を重ねると以上のようなリスクがあります。

 

理由6:ライバルに負けた経験がある

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互いに競い合う中で、勝ち負けは必ず起きるものだが、自分がふがいない負け方をした、負けた後周りの人に笑われたなどの経験があると、そのつらい経験を乗り越えて認めてもらいたい、という現象が起こることがあります。

 

特に今まで負けたことのなかったプライドの高い人は要注意です。思わぬ負け方をした場合、それまで以上に承認欲求が強くなってしまうかもしれないからです。

 

理由7:他人と自分を常に比べている

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他人と比べる癖がある人も承認欲求が強くなるリスクがあります。

 

他人と比べるということは自分が他人より優れているか劣っているかを確かめる行為だからです。他人より優れている部分が多ければ、それだけ他人に承認される可能性が高まります。その可能性を高めるために他人と比べることをやめられなくなってしまうのです。

 

たとえば自分の容姿と他人の容姿を比べてしまう癖のある人は、他人に容姿で承認されたいという気持ちがあります。その気持ちは他人より容姿が良ければ良いほど満たされる可能性が高くなります。少しでもその可能性を高めるために他人と比べ続けます。

 

劣等感の強い人ほど他人と比べる癖が酷くなる

劣等感の強い人は自分に自信がありません。そのため他人と比較してその自信を高めようとしてしまいます。他人と比較して、自分のほうが優れていれば、優越感を抱くことができます。優越感は自分に自信を与えてくれます。そんな優越感による自信回復をするために劣等感の強い人はついつい他人と比較してしまうのです。劣等感の強い人ほど他人と比較する癖がひどくなる理由は自信回復という目的が存在しているのです。

 

でも、自信回復するためにしていたのに、さらに自信を失う場合もある

自分が劣等感を抱いている部分によっては他人と比較するたびに「自分のほうが劣っている」と思って、さらに自信を失ってしまう場合があります。他人と比較するという行為は諸刃の剣ということなのです。