他人を過剰に意識してしまう?!日本人に多い『対人恐怖症』とは?

『対人恐怖症』とは

社会不安障害」ともいわれている

「対人恐怖症」は、近年、「社会不安障害」という名前で注目を浴びるようになった病気です。人前に出れば、だれでも多かれ少なかれ不安や恐れを抱くものです。この「社会不安」と呼ばれる人への不安や恐れが過剰になると、悩みや苦痛が大きくなり、社会生活にも支障を来します。これが「社会不安障害」、すなわち「対人恐怖症」です。以前は病院に行っても、「気の持ち方の問題」「性格の問題」とされることもありましたが治療の対象になるれっきとした病気なのです。

 

20代~30代の女性にも多い病気
社会不安障害は、女性に多く、男性の約2倍もみられます。病気そのものは、多くの人で10代後半~20代前半までに体験するようですがとくに悩みを覚え、生活に支障を来すようになって病院にかかる率が高いのは、20代~30代の時期。というのもこの年代では、就職して社会に出たり、結婚・出産をしてお母さんどうしのおつきあいが生じたり、ということで、社会的な活動が多くなります。そのために苦痛やトラブルを強く感じやすいのです。

 

日本人に多い病気とも言われている

対人恐怖症は、日本では珍しくない病気です。
日本人の10人に1、2人がかかるといわれるほどポピュラーな病気なのです。

 

『対人恐怖症』の主な種類

赤面恐怖

人前に立つと顔が赤くなったり、異性の前に出ると赤面することが恥ずかしいために、人に注目される場面を過剰に意識したり、人が集まる場所を避けるタイプ。特定の場面で顔が赤くなっているのを指摘され、以来人前が苦手になる場合もあります。

 

自分の容姿に自信のない人が赤面恐怖に陥りやすい。

 

スピーチ恐怖
対人不安のなかで、訴える人がもっとも多いタイプ。会議や披露宴などでスピーチをする際、頭が真っ白で声が出なかったり、不安で声が震えたりして強いプレッシャーを感じます。人前に立つ機会が増えた人にあらわれやすく、他の状況ではほとんど不安を感じない人が多いのも特徴です。

 

電話恐怖
ほかの人に聞かれていると思うと、オフィスで電話をとれない。電話が鳴ると胸が高鳴り、おかしな人と思われるのではないかと思い、電話をとっても言葉が出ない。この電話恐怖は、会社勤務の若い女性に多いタイプです,また、電話の相手を気にするタイプもあります。

 

会食恐怖
食べているところを他人に見られると、緊張して食べられない。自分の立てる音が気になって、のどが詰まる。それでおいしそうに食べられないと、同席者に申し訳ないと悩むなど、人前で食事をすることを極端に恐れるタイプです。

 

視線恐怖
人が自分に注目して、うわさをしている気がする、自分の行動を観察されているようで落ち着かない、といった他人の視線が怖いタイプと、自分の視線が相手にいやな感じを与えてしまうことを恐れるタイプの両方があります。前者が重症になり妄想的になると、別の病気(統合失調症など)の可能性も。

 

書痙
黒板に字を書く、窓ロで申込書に記入するなど、人前で字を書こうとすると手が震え、書くことがむずかしくなるタイプ。人から変に思われるのではないかと思うと、ますます震えたり書けなくなったりしてしまいます。

 

振戦恐怖
職場で来客にお茶を出そうとすると、手が震えてしまう。上司にチェックされているとパソコンを打ち込む手が震えて、ますます緊張する。このように人と接する場面で、手や足など体が震えてしまい、そうした場面が怖くなるタイプです。

 

発汗恐怖
人から話しかけられると、緊張してぐっしょりと汗をかく、仕事で接客をしていると、額からポタポタと流れるほど汗をかき、タオルが手放せないなど、人と接する恐怖や緊張のあまり、大量の発汗をするタイプです。

 

腹鳴恐怖
会議中や講演会などで、おなかが鳴るのではと心配でたまらないタイプ。そのため人が集まる場所を避けたり、食事時間でなくてもおなかに充分食べ物を入れてから出かけないと安心できなかったりします。

 

自己臭恐怖
汗のにおいやロ臭など、自分の体のにおいが人にいやな思いをさせているのではないか、と気になり、人との接触を避けるようになるタイプ。重症になって「人が自分を避ける」といった思い込みが確信的になると、「妄想性障害」という別の病気の可能性もあります。

 

排尿恐怖
男性にも多いタイプで、職場のトイレに上司や苦手な人が入ってきたり、公衆トイレなどで、後ろに並ばれたり、横に人がいると、ドキドキして排尿ができなくなる。早く出さなければと思うと、ますます出なくなってしまいます。人がいないトイレなら平気なのも特徴です。

 

『対人恐怖症』の人のさまざまな苦痛

1、人が自分に注目して、うわさをしている気がする。

自分の行動を観察されているようで落ち着かない。

被害妄想だと思っても気にすることをやめられない。

 

2、自分は会話が下手な人間だ、他人に馬鹿にされると思い込み、自然な会話が出来なくなる。ほかの人に聞かれていると思うと、オフィスで電話をとれない。周りに人が増えれば増えるほど話すことが苦痛になる。

 

3、自分のすることに自信が持てない。そのせいで職場で来客にお茶を出そうとすると、手が震えてしまう。人前で文字を書くときに手が震えてしまう。人前に立つと顔が赤くなってしまう。人に注目される場面を過剰に意識してしまう。そのせいで人が集まる場所を避けてしまう。

電車の中で目のやり場に困ることさえある。


『対人恐怖症』の原因

『対人恐怖症』になる原因は1つではない
対人恐怖症になる原因は、単一の要因ではなく複数の要因が関与しているケースが多い。

 

主な原因

原因1:子どもの頃の環境(トラウマ・劣等感)

厳格な家庭でいつも叱られて育てられた場合、自分に自信が持てず、他人の前で不安を覚えやすくなることがあります。また、子どものころ、人前で恥をかいたりするとそれがトラウマになり、そのトラウマが原因で対人恐怖症になる場合もあります。普通の人より劣った部分を執拗に馬鹿にされたりした場合もトラウマ⇒対人恐怖になる場合もあります。

 

原因2:生まれつきの性格

生まれつき緊張しやすいタイプという人がいます。

 

原因3:承認欲求が強い

承認欲求が強い人は自分の評価が下がることを異常なまでに気にします。なので失敗しないよう常に気を張っています。失敗すればプライドが著しく傷つくからです。一度の失敗で死ぬほどプライドが傷つく人もいます。傷つかないために、自衛のために、承認欲求を満たすためにこのタイプの人は他人の前では常に失敗しないように、評価されるように努めます。

承認欲求の強い人の中には、自分に自信のない人もいます。自信がないから人前では緊張してしまう。でも承認欲求を満たしたい。だから人の目を意識してしまう。失敗するのではないかと緊張してしまう。他人に笑われないよう気を張ってしまう。緊張してることを相手に悟られないよう無理をしてしまう。そういう人が承認欲求が強い人の中にはいます。

 

『対人恐怖症』は治療できる病気

以前は病院に行っても、「気の持ちよう」「性格の問題」とされることもありましたが治療の対象になるれっきとした病気なのです。

 

・対人恐怖症の大きな問題点として、症状に気付いてから精神科で相談するまでに何年も経過してしまうことが少なくないことが挙げられます。風邪と同じように症状の軽いうちに治療することが大事です。

 

治療は薬物療法のほか、心理的療法もあわせて行われる

薬を服用することで、症状はかなり楽になる

不安感や恐怖、心配などの心の症状や、震え、動悸、緊張といった体の症状は、適切な薬を服用することで、かなり改善されます。薬は、おもに3種類が使われます(下表参照)。うつ病の薬として開発されたSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬は、対人恐怖症(社会不安障害)によく効き、緊張する場面でも不安を感じなくなる作用をもたらします。また抗不安薬には、緊張や不安をやわらげる作用があり、なかでも、クロナゼパム(薬名はリボトリール)は、対人恐怖症に効く薬として証明されています。さらにβ遮断薬といって、震えや動悸、発汗などの身体症状を除去する薬を、スピーチなど人前で何かをするときにだけ頓服として使うことで、状況に上手に対処できるようになり、自信を取り戻せます。

 

薬は症状がなくなっても、しばらくのみつづける
 SSRIでは、のみはじめて効果があらわれるまで1~2週間かかりますが、基本的にこの病気は、薬がよく効きます。ただし、症状がよくなってすぐに薬をやめると、再発した際に自信を喪失したり、落ち込みがひどくなりかねません。しばらくは薬をのみつづけることが大切。のみつづけても困った副作用が起こることはありません。むしろそれによって、不安のない健康な生活や行動パターンが身につき、安心して自信を取り戻せます。

 

認知行動療法などの心理療法によって、不安のコントロールの仕方を学ぶ
 つらい症状は性格の問題ではなく、適切な治療で治る病気であることを認識することも大切。また心理療法のひとつである認知行動療法を併用して、物事のとらえ方を見直したり、恐怖場面に対処する方法を身につけることが役立ちます。紹介したソーシャルスキル・トレーニング(社会技能訓練)も、この認知行動療法のひとつの方法。そのほか、リラクセーションや呼吸法など、不安症状が起きてしまったときの対処法を学んだり、暴露療法(エクスポージャー)といって、恐れる状況や場所に逃げないで臨むようにすることで、少しずつ不安を克服していく方法などがあります。

 

対人不安にならないための7つのポイント

鏡に向かって表情の練習を
毎日鏡に向かって自分の表情を見て、百面相をしてみましょう。緊張すると、知らず知らずに表情はこわばっています、それで相手も身がまえてしまい、互いに緊張が高まって悪循環に陥ってしまうのです。ニッコリ笑える顔を、鏡を見て毎日練習しましょう。トイレで座ったときに顔が映る場所に鏡を置いたり、洗面所やオフィスの鏡を利用してもOK。

 

まず自分からあいさつを
職場に行ったり、人と出会ったりしたら、まず大きな声で自分からあいさつをしましょう。そうすると相手の気持ちがやわらいで、雰囲気がふっとよくなります。自分からリラックスした印象や雰囲気をつくり出すことができます。


リラックスして腹式呼吸
緊張して不安なときには、意識的に体にギュッと力を入れ、フッと力を抜いて脱力感を味わいましょう。力を抜きにくいときは、手、肩など部分に分けて少しずつ脱力させるのも効果的。そのあとゆっくりと腹式呼吸を。吐く息を長くするのがポイントです。

 

緊張をやわらげるツボを刺激
緊張する場面では、胸のつかえや不安を鎮める「内関」のツボを刺激するのもおすすめ。手首の内側のシワからひじ側に指3本分離れたところの真ん中に位置するポイントを、反対の親指で押します。まず、気持ちを整える「合谷」(手の甲側の親指と人さし指の間の指のまたで、押して痛むポイント)のツボを押してから行うと、より効果的。

 

アロマテラピーの香りで安心
アロマテラピーで使われる精油の香りには、気持ちを穏やかにしたり、緊張をやわらげる働きがあるとされています。とくにローズの香りには、抗不安作用があることが臨床的に確かめられています。不安なとき、ティッシュに1滴たらして香りをかいだり、お部屋に香りを漂わせて。鎮静作用のあるラベンダーもおすすめ。

 

相談できる人を見つける

相談する相手はなるべく自分が話していて苦になりにくい相手が好ましいでしょう。家族、恋人、友人、上司、部下、誰でも構いませんが、なるべく自分に親身になってくれそうな相手がベストです。

冗談めかしていうと、本気ととらえてもらえず深刻な問題ではないと思われてしまって話になりません。大事なのは、真剣にそのことを伝えることです。自分がいかに対人関係で苦労しているかを話し、それを誰かが聞いてくれるという体験は、心の傷を癒やす一助となります。

もし周囲に適当な人がいない場合は、心療内科へ足を運ぶのも一つの手でしょう。心のプロフェッショナルがあなたの話を親身に聞き、問題解決を全力でサポートしてくれますよ。

 

無理しない

対人恐怖症だからといって無理に人と会う機会を増やさないでください。症状が悪化する可能性があります。与えられた条件のなかで人と接してみてください。気負わず、失敗してもいいんだという気持ちでコミュニケーションしてみてください。

 

対人恐怖症の人が絶対にやってはいけないこと

対人恐怖症を克服しようとする時に、絶対にやってほしくないことが2つあります。この2つをしてしまうと、逆に症状が悪化してしまうので、注意してください。

 

1、外出を避けて人に会わないようにする
確かに、恐怖の原因となる「人」を避ければ怖くはありません。
ですが、人は完全に一人で生きていく事は不可能です。
この方法をとってしまうと、数少ない外出を更に意識するようになり、その日を考えるだけで憂鬱になり、最悪の場合はうつ病を併発してしまう恐れがあります。

さらに、めったに人とあわないせいで、今までは怖くなかった相手までもが恐怖の対象となってしまう可能性もあるのです。

 

・いっその事人といっぱい会うようにする
これは、やり方によるのですが、多くの場合失敗してしまい症状を悪化させてしまいます。「慣れてしまえば怖くなくなるかもしれない」と思うかもしれませんがそれは違います。対人恐怖症といのは一種のトラウマを抱えた状態であり、それを克服するためには時間が必要です。

そこに無理をしてまで人と会う機会を作っていくと、脳が麻痺していきます。
恐怖感は確かにわきませんが、そのかわりにあらゆる仕事や作業に集中できません。
また、感情の起伏が激しくなったり、逆に一切なくなったりと、更に症状が悪化してしまいます。